講師 田口 敦子 氏
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令和7年度 茨城県市町村保健師連絡協議会 第1回専門研究会 記録
演題:「DXで保健師活動はどう変わる?~今保健師が取り組むべきこと~」
講師:慶応義塾大学看護医療学部 教授 田口 敦子 氏
(講演内容)
元は保健師として活動していて、やっぱり保健師活動の中でもDXを活用していかなきゃいけない時代になり、厚生労働省からぜひDXをどう保健師活動に取り入れて、ICT活用にというよりはPDCAを回していくことをテーマとして取り組んでいました。保健師というのはなかなか活動が見えにくい。黒子の立場になってしまう。それは、立場としてはしょうがないことがあるかもしれないが、社会的には見える化することが重要。それが10年20年そういう評価をしよう、見える化しようというテーマで、ずっと取り組みをしているがなかなかそこがうまくいっていない。なんとかDX×保健師活動をちゃんと見えるようにしていこうっていう厚生労働省派遣の企画によってテーマを反映した。皆さんと一緒に考えていきつつ、今わかっていることをお話していきます。
今日お話するのは、4点なっておりまして、まずDXとICT活用の基礎知識です。だいぶ市町村によって差があるというような話もいただいておりましてこのあたりも、それぞれの皆さんの立場だったり、年齢だったりとか、あと環境によって結構違うのかなと思うんですけど、基礎というところから、自治体DXにおけるDX推進の動向ということで、何でこのような流れが来てるかっていうことをちょっと国の動向とともに皆さんにお伝えしたいと思います。保健師活動、DX先駆的な事例から学ぼうということで、何ヶ所かちょっとパターン違うものを紹介して、厚生労働省派遣で私が取り組ませていた研究のご紹介をして終わります。
3年前は、ご存知ない方が多かったんですけど、知っているって思われる方が増えてきたかなと思ってデジタルトランスフォーメーションっていうのが何かということです。これはDXの定義はICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること。ICTは情報通信技術、デジタルデータのやりとりに関する技術。ITは情報技術、デジタルデータの処理に関する技術。似た言葉としては、スマホ、パソコン、zoomなどのこういうのは全部ICT皆さん方手に取ってらっしゃるものを総称して、コミュニケーション取れるツールということです。ICTの言葉でITという言葉を聞いたことあると思うのですけれども情報技術というものになります。これはインフォメーションテクノロジーをデジタルデータの処理に関する技術というものになっています。国の文書とか見ると、IT、ICTが混在しているものも多いですが、主に今ICTを使用しています。DXの大事な点というと、単なるデジタル化ではなく、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることが含んでいます。デジタルの力を活用して、保健師が専門性を発揮でき、住民の幸せをもっとコミットできる仕組みを目指すところが本日お話したい要点の1つです。DXの構造としては、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションという構造がある。この構造がDXとなる。デジタイゼーションはアナログ・物理データのデジタルデータ化、カルテ記録のデジタル化。デジタライゼーションは、個別業務・製造プロセスのデジタル化。アプリ内での子育て世代の市民と双方向的な相談。モバイルパソコンによる家庭訪問や健診時で即時入力。デジタルトランスフォーメーションは、最上位であり、1番重要である。組織横断、全体の業務・製造プロセスのデジタル化。保健師であれば、デジタル化によって家族に会う時間を確保しサービスの質の向上すると思う。DXで保健活動に何が起こるかというと、組織の変革が行ってくる。職場で1人1台パソコンを使用している。例えば、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)といういわゆる母子保健や特定保健といった健康関連データの共有や保健専門職の介入効果の見える化が進むといくのではないかと考えています。やっぱり単に健診データがあっても実際それが何で効果があるかというと、保健師が介入して、なんでこのデータが改善したのかっていうところを見えるようにしていくことがやりやすくなる。そうすると、やっぱり保健師は何をしてるのかを問われるような時代が行政保健師だけじゃなくていろんな職種の見える化が進んでいくわけです。そんなとき、保健師は何してるのかということが見えないとマンパワーと事業の打ち切りになることも懸念されますが、そのあたりを問われたらそこに答えていくことが大変重要だと思います。あと、サービスの変革ということは、デジタル化で業務の効率化とコストカット化をして、生み出した時間をどのように住民に質の高いサービスの提供を行えるのかをちゃんと構想として持つこと、そのあたりもすごく考えていくのに、デジタル活用してPDCAを回すような仕組みというのがより大事になっていきます。
全国調査を2年前ぐらいに行いました。ICT活用・デジタル化の順調度の結果ですが、全体を見ると70%が順調ではないという結果になっています。自治体の種別によって落差があり、都道府県は高く、政令都市は順調。どんなことが順調ではないのか、インターネット環境が不十分というところが、全体の26.4%、保健所設置市は42.9%不十分と回答しています。利用可能なICT機器の不足についての質問ですと、先ほども記録のために順番待ちをしているという話も時々聞きくので、パソコンやタブレットが不足していると政令都市や保健所設置市が回答している。また、全体の6割の自治体がICT活用やデジタル化に取り組む余裕がないと回答しています。予算の確保が難しいと5割ぐらいのところが該当していると回答している。スキル不足、本当に苦手意識が結構大きいです。講演依頼があったときに、とにかく苦手意識があるのでわかりやすく先生からお話くださいと言われるところが多くて、その辺はなかなかこれから高めていく必要があるのかなと思います。でも、分からなくてもいいので、やっぱり自分たちが必要な何か、自分たちがやりたいということがやれる範囲での知識でいいので本当に基本的なところから学んでいかれるといいかなと思う。
DX推進の動向というと、国の2020年に閣議決定されたところが一番発端になっていると言われています。目指すデジタル社会のビジョンということで、デジタルの活用により、1人ひとりのニーズにあったサービスを選ぶことができ、多様な社会の幸せが実現できる社会。誰一人取り残さない、人にやさしいデジタル化ということが打ち出されています。20年10年前からその兆しはありましたが、そこでより加速化しましたが、コロナがきっかけでさらに加速化されたと思う。総務省の自治体DX推進計画の中にも入っていまして、デジタル技術やデータの活用によるサービスの利便性向上、配信サービスや手続きがもっと効率化されるように、AI等の活用によって業務の効率化が進むように使っているので、EBPMですね。いわゆるエビデンスベースにポリシーメイキングなんです。政策を作っていくということですね。そういったことも推進の効率化、高度化を図っていこうということです。これは一番最初に述べたPDCAも繋がるんですけれども政策作りっていうところ保健師もやっぱり関与してる。行政にいる限りは関与してるってことだと思うんですがそこでどんな政策を立てていくか。今ってあんまりデータが取れる仕組みがない。何か統計とか取られてるけど、あまり何か活用されてなかったとか、こんなデータ欲しいなと思っても、なかなかあったりしますよね。そういった意味でなるべくEBPM、ちゃんとエビデンスに基づいた政策立案ができるようにこれを法律してデータをちゃんと取って分析していこうというようなことがこの柱にはあります。
2001年から行政保健師サービスにおけるDX・ICT活用の動向が進んで保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン、医療情報電子化にむけたICT活用の取り組み。2001年頃の自治体はおそらく紙媒体がメインだったと思うんですが、先に病院のほうが、電子カルテの導入が始まっています。なので、看護職も病院のほうが進んでいる。自治体も保健師活用は病院の電子カルテから学ぶことがあると考えています。このように徐々に電子化が進み、なかなか病院のほうが自治体より多様性がありますので、一気に電子カルテを推進できないので、だいぶ時間がかかった。病院は先に電子化が進み、自治体は2010年から取り組みが始まりました。厚生労働省から出されているデータヘルス改革に関する工程表は、2025年度最終年度まできていますが、私達に関係するところといえば、乳児健診とか妊産婦健診、特定健診をマイナポータルで閲覧ができる。保健師ではなく、住民が見ることができる。このような感じで整備されています。住民たちが見るということになるが、皆様も自分のマイナポータルから自分の健診情報とかは見れますので、確認いただければと思います。このような感じで一気に整備、より利便性の高い閲覧環境のあり方の検討というのが随時始まっております。もっと便利になるための話し合いも進められております。さらに2022年になりましたら内閣府から、医療DX推進本部も設置され、ここでも工程表が出されています。ここのコンセプトを共有しますが、医療分野でのDXを通じたサービスの効率化、質の向上を実現することにより、国民の保健医療の向上を図るとともに、最適な医療を実現するための基盤整備を推進するため関連する施策の進捗状況等を共有・検証することを目的に立ち上がっています。自治体一部として、国民の保健医療の向上を図り、あと最適な医療を実現するための基盤整備の推進が進められていて、主に具体的なことが全国医療情報プラットフォームの創設です。プラットファームとは、1つの箱のような一元化されたもの。今までいろいろな様式で、例えば健診情報とか、標準化が図られという、いろんな様式で書かれているものを集めたものです。なかなかプラットフォームにならないのでちゃんと様式を揃えて、一つの部屋に入れて、みんなが活用できる必要なものにしていくというのが、プラットフォームであります。キーワードの標準化です。とにかく全国でそれを標準化していくことで、あのデータをきちんとそこに共有してみんなが使いやすいように、作りましょうという意味です。診療報酬改定DXという、なかなか診療報酬も根拠になるようなものなどプレゼンに苦労していたり、そこにマンパワーがさかれていたりということがあると思うんですが、その辺も効率化していこうというような目的もあるようです。
医療DXとは、保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータに関し、全体最適された基盤を構築し、活用することを通じて、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化、共通化、標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えていくこととあります。大変多岐に渡っており、いろいろな団体でデータ化を抑えて、それぞれ連携しやすいように意識していて、大事なのは、国民自身の予防を促進することが大切である。また、単にデータ活用するのではなく、住民の予防を促進する、医療やケアを受けられるようにやっていきましょうとしています。単にデータをデジタル化するのではなく活用するだけではなく、住民が療育なケアを受けられるようにすることが大事になっていきます。誕生から現在までの生涯にわたる保健医療データが自分自身で一元的に把握可能となり個人健康増進に寄与するということです。自分で記録していない検査結果とか、あとも大事なアレルギー情報などを倒れて病院に運ばれたときにすぐその人のアレルギーの情報というのが見えるというのも大変大事です。切れ目のない質の高い所の提供が本人の同意のもとになりますけれども、各医療機関等と連携して情報共有することも可能になると思います。例えば災害や、次の感染症危機COVIDの次に来る大規模な感染症の工夫というところにも対応可能。あとは医療機関等の業務の効率化や、人材の有効活用マンパワーの不足もありますのでそういったところで生活していくような仕組み、あとは利活用医療情報を民間と連携しながらより良い医療、考えていく上で、そのデータを使ってPDCAを回していくということも考えられていく。資料4は、初期に出されたイメージですが、医療DXのメリットとしてわかりやすいなと思っています。マイナンバーカードとかスマホ一つで受診薬をすぐ受け取りができるからできていると思うんですがさっきお話したように、救急のときに検査状況や、薬剤情報がすぐわかって、医療の方もしっかりと対応ができるというようなことが書かれています。だいぶ予診票や予防接種の情報なども多く進んできてると思いますが、予防接種の情報とかも速やかに接種病院と連携ができていることで効率化している、かかりつけ以外の病院にかかっても必要な電子カルテ情報が共有されてスムーズに診療が受けられるようなものが、これはまだできてはないですけど、こうなっていきますよっていう理想像が書かれております。医療情報を二次利用することで新たな医薬品を研究開発や高い医療が受けられるようなことにも使う、皆様何となく将来と思っていることが描かれています。見たことあると思いますが、今すごい準備で大変だと思うんですが、この母子保健領域にこれ全部成人領域も出ているのですけど、この標準化先プラットフォームと言ってましたよね。プラットフォームの中に入る情報が規定とかできまして、これ民間業者にもメジャーな形のシステムを作るところで、何が入るかが書かれています。例えば妊娠届け出とか、手帳などを標準化の対象範囲のところをきちんと同じ項目で作っていくことが進められています。そのためには母子保健情報検討委員会とかも作られて一体何を、マイナポータル上にのせて使うみたいな検討会はもう終わってますけれどもそんなところでもお話をされたりしておりました。あとこの工程表を受けてご覧になることもあるかなと思うんですがこのようなスケジュールでやっていきます。どんなふうに自治体、病院、介護事業所が連携していくかということになります。どんどんそのデータをきちんと標準化して、吸い上げられるような仕組みを作っていくところに今います。将来像ですと、自治体で作っている介護保健のレセプトデータとか吐き出して、自治体のデータを入れることでさらにその自治体の業務の効率化とか、あとは住民サービスができるプラットホームを作っています。ここまでのポイントとしてはDXとはなんなのか、国の動向と目の前にある標準化とかDXがどんどん進んでいる状況を目の当たりにされてると思いますが、そこの関係についてお話しました。
ここからは、事例を紹介します。一応事例は、事例集を作ってまして、ここにアクセス(デジ・ホケ)していただければ、この報告書もありますので今日は一部を抜粋しています。DXの取り組みタイプを三つに分けておりますので、保健師記録のデジタル化、そして2番目住民サービスでのICT活用、そして3番目が業務を効率化していくICT活用ということで、3つに分けて、今日は1事例ずつお話していきます。
最初は、愛知県一宮市です。大体総人口38万人ぐらい。とても早くそのデータ活用の仕組みを作られていて、令和3年に愛知県の母子健康診査マニュアルが改定されて、そこでシステム改修が計画されたそうです。私がヒアリングした中では、なかなかシステム改修したいと思ったとき予算が取れないなどの事情があってできない、意図とは反して、事務職の方で進められて保健師が入れないみたいなこともあった自治体と伺っておりましたので、こうやって保健師がしっかり参画していくことは、重要なことで、どんな仕組みを作りたいかっていうのをしっかり言語化していくことが重要だと思います。でも急には生まれてこない、だから保健師からこういう仕組みがあったらいいのにということが職場で共有でき、自分のアイディアとしてしっかり聞かれたときに伝えていくことが大切です。予算がつくチャンスが、いっぱいあるときは、できれば言語化して、何かすぐ見せれるようにしておくことがとても大事です。業務効率化の効果を数値化し、可視化できる。そもそもマニュアルを作成してみんなでちゃんと共有することをポイントに進められました。業務量を削減され、入力ミスが減少して、関係機関と即時情報共有できる。データ活用電子化見直し改善が可能になる。導入した記録システムとしては健康情報の収集や分析が容易になる。また、事業評価等に活用してますが、扱いきれという実情もあることをヒアリングの時点では聞いていましたが、何をやったかっというと、作っただけじゃ駄目で、こういう研修とかにもなかなか参加しないと2本立てですよね。やっぱりシステム作って教育というところもちゃんと充実しないとなかなか進まないという表れだと思うんですが、県主催のデータ分析の研修に参加して、きちんと保健師活動に関心を持って実施してみてやっぱりデータ分析というのは保健師活動に大いに役立つことを実感した人を増やして、職場に帰ってその人が普及していくっていう仕組みを作られていました。データ活用の例としてはEPDSの得点と妊娠届、その辺のデータというか、蓄積がどこの自治体も進んでいるかと思うんですけれどもハイリスク妊婦のフォローの重要性を再認識する、観察する視点の広がりを実感するような分析をされたという。1歳半健診時に不慮の事故件数の増加を事故予防の啓発強化につながる。
2事例目として、神奈川県横浜市です。横浜市は18区ある中で、3つだけは、デジタルのモデル地区に住民の方のSNSを活用子育て支援されたという。ラインを活発に使われるのでここに着目して、子育て情報配信サービスをしています。プッシュ型は、むこうからアクセスしてもらうんじゃなくていい時期にこちらからプッシュを送るっていうのをプッシュ型といいますが、出産予定日や人の生年月日の登録でそのときの子育て情報を発信。保健師や保育士が監修して100項目ぐらいあって、プッシュしてるということで個別支援の対象だけではなくてやっぱり地域の不安を抱えながら育児している家庭もたくさんあるなと保健師の気づきですけど、デジタルの活用によって日々の業務では手が回りにくい対象へも支援を届けたいな。なかなかこちらが支援できてるとは思えないっていう方はたくさんいらっしゃると思うんですけれども、これは、なるべくポピュレーションアプローチを表しているんだけれどもでも個人にあったものを提供していけるという手段としてLINEを活用されたということです。このICT活用のポイントなんですが担当者、現場の保健師コミュニケーション大事ですね。ヒアリングの対象は課長保健師でしたが、やはり新たな取り組みの心理的負担がありましたが、担当者から目的やメリットを繰り返し説明して、こんないいことがあるよっていう保健師の課長がアプリをされたので、繰り返し説明して現場職員の理解や納得感を大切にヒアリング、意見交換を行いながら実施したとのことです。デジタルあるあるなんですけど、なんか始めた新しいことは、何かイメージがつかないどのように変わるんだろうデジタルにする方がよっぽど大変ってことが結構あると思うんですけどこんないいことがあるよねっていうことを進めるときにはしっかり説明してたことがいいですよね。ユーザー特定に応じたツールの採用。区民意識調査等の結果を踏まえ、ラインを採用しました。区保健師をはじめ、地域の子育て家庭をよく知っている専門職が監修しました。日々の業務での母親とのふれあいの中でニーズを把握し、1人10コンテンツ、合計約100コンテンツを提供しています。サービス開始から登録者数は約4000人に登るということです。
最後にご紹介したいのが、モバイルパソコンを活用した記録の入力業務の効率化です。静岡県島田市は人口が9万8000人で、モバイルパソコンを活用した記録の即時入力です。訪問に行って、その場で入力したりとか、あと健診時登録したりする自治体はあまりないかなと思います。それは多分セキュリティの問題あと予算の問題とか多分結構ハードルがあるのかなと思うのですが、今でも徐々に進みつつありますのでそんな事例をご紹介します。令和2年度にモバイルパソコンを導入されました。検診時に問診を行いながら記録を直接入力できる体制が作られています。気になるところがパソコンを操作することで、集中してしまい、対象者の人は大丈夫なのかということだと思います。そこは、対象者への環境作りを意識して、パソコンを注視しないこと、ちょっと技術がいりますが、表情を見ることを大切にする。そして形式的に事務的にならないように注意することを意識しながらされてるとのことでした。DX推進の目的として、業務の効率化によって、家庭訪問の時間を捻出したいことがありました。自宅に行く時間をなるべく作りたいし、もっと悩みを聞いてちゃんと対応していきたいところです。保健師のプロジェクトチームを結成して、組織的に推進しました。そうすることで、記録時間が短縮し、保健師1人当たり1.5日/月当たりになり、訪問の時間が増え、対象者との信頼関係が強くなったことが目で見えると思います。
最後に、私たちが行っている研究の紹介をしてもらいたいと思います。今までお話したのが、大体デジタル活用の話や地域活動とか、そのような話でしたが元としては、保健師が訪問記録とかまたは検診でお母さんからの相談とかを文字で記述を書いてます。叙述とも言いますけど保健師の特性とか、保健師の専門性がたくさん出るところだと思ってるんです。だけどそれが今いろんな言葉で、書かれてるから、そこをデジタル化したということです。これってどうしたらいいか、分析どうするかっていう話になるのかな。何か病院とかだと、病院実習の時のNANDAとか。そういう看護診断的なものの言葉が統一されていれば、保健師はそういう標準用語がない。そんなところからちょっと私達危機を覚えまして、今標準用語を作ったりしながらですねどうやったらその皆さんが今書いている記録が効率よく書けるかもすごく大事なんですが上手く活用され、さらにそれがちゃんと次の保健師活動の見える化ももちろんされるんですけど、あの自分たちの保健師の活動のエビデンスになっていくような仕組みができないかなというふうに考えています。ちょっと具体的に話してこんな今お母さんに相談に来て、例えば状態悩みを相談したとき状態を状態Aとして、そんなときには皆さん何となく感覚でケアAかな、と考えていると思いますが、それってすごく当たってることが多いですが、保健師の頭の中に全部今までの経験値差、多分知識が詰まってケアを選んでると思うんですけど、このケアが実際に状態AAになるっていう確認したことありますか?こうやって確認し、それが本当に良かったのか評価するって、なかなかないと思います。積み重なっていくと、本当に状態AのときのケアはケアAでよかったと、いうようなことがだんだんとエビデンスとしてなっていく。だけど今はそれをちゃんとデータ収集して分析する仕組みがないんです。訪問に行ったけど、本当にその方法でよかったのってちょっとわからない。保健師としてはあの家族今すごい幸せそうに暮らしてるし良かったなって思うこともあるけれども、それを客観的に説明しようと思ったときに何が良かったのか。本当によかった、集団としてその救われた人がどのぐらいいますか。すぐ出せば、そういうのはなかなか難しいかな。何でそれができないかっていうと、ここにある通り、データ収集分析するシステムがない。そういったことがあるので保健師の質の高いケアを提供する体制整備とはということで、ケアの質を担保するためのPDCAサイクルを可視化できる仕組みがない。必要な改善策を講じるためのケアをしつつ、指標を用いた測定が必要だというふうに思っています。アウトカムを出すのが保健師活動難しいのですが、でもどこかの時点でちゃんと評価しないといつまでたってもいいケアがわからない状態が続いていくんじゃないかなと思っております。なので保健師活動のパスみたいなものがやっぱり必要なんじゃないかなと思います。用語の定義標準化というのが必要だと思っています。今までなぜできなかったかっていう原因の一つにたくさん保健師の活動ってすごく複雑なのでいっぱい用語が出てくる。病院以上にたくさんの量が出てくるのでそこをデータとして扱ってくれるようなやっぱりICTが必要なんですよね。だから今ICTが活用できるようになった今、やっぱりちゃんと整備していかないといけないと思っています。ということでやっぱりそこにはということが保健師の記録にそれがかかっているので、記録のデジタル化はだいぶ進んできてるとは思うんですけれども実施してところは全然6割ぐらいで、なかなか進まないところがまだ現状かなと思って、リアルタイムの入力はほとんどのところでなかなかできていない。これから進んでいくのかなと思っています。保健師の記録にも課題というか、話していきたいと思います。保健師記録の課題として3つあります。まず、記録の効率性に関する課題、記録の内容、質に関する課題、記録の活用・評価に関する課題があります。
現在、保健師活動マネジメントツールというのを今、手がけて作っていて、皆さんに共有したいなと思っています。手がけているのが、患者状態適応型パスという名前でいくつかの病院で実装している。これを使うことで、事例の経過をチャート図に整理できる、正確で漏れのない記録をナビできる。看護実践標準用語に対応しています。保健師活動マネジメントツールとして開発中の画面イメージとなります。わかりにくい経過をチャート図で示し、一つの画面上で事例の全体像が把握できます。健康課題の一覧を出すことで現在の健康課題を一目で把握でき、健康課題を言語化して出せます。用語についても書き手による違いもなく正確な情報収集が可能です。経過も分かりやすいので、各時点の健康課題に紐付く記録を見ることで、必要な情報へのスムーズなアクセスが可能です。支援計画立案の効率化とそれに基づく支援の良質化にもなります。新人保健師とベテラン保健師の訪問での観察項目が異なることもなくなります。また、保健師活動に関わるデータの分析と評価もしやすくなり、見える化することができます。
(グループワーク)
(グループワーク発表)
①現在の状況、課題として、デジタルとアナログの両方で記録を入力していて、デジタル入力のある市町村は、エクセルデータとデータ入力の記録を3パターン一度に入力しないといけない。入力するパソコンも台数が限られているので、空くのを待つことで時間外になってしまうこともある。過去のデータ、デジタルではないアナログだといつからこの状況が始まったのかなというのは、過去に遡っていかないといけない。担当者や担当地区が変わると遡らないといけないというのが課題。理想の状況としては、入力を3パターン入れるのは大変なので、そこを減らすことができないか。また、データ入力、観察項目を入れるとこういう問題があり、どのように指導した方がいいというのが分かれば、新人保健師もわかりやすいと思います。電話相談時に、保健師が答えた内容について自動で記録してくれるものがあると記録の時間短縮にもつながるという意見が出ていました。
②理想の状態として、記録や実績、様式が全国で統一され、報告物や補助金の申請が不要になる。訪問時にタブレットを使用し、保護者に入力してもらい、保健師も入力できるといいという意見がありました。現在の状況として、やはり報告物の期限に追われてしまって日々残業になったり、紙とデジタルの情報が存在していまっているので、何か知りたい情報があってもどこを見ればいいのかがわかりにくい。さらに時間を奪われてしまうので、統一化、標準化したりすると解決できるのではないかと意見がでました。解決策としては、記録様式を標準化して民間企業や都道府県・国が連携して、報告書などが最低限のものになるという意見が上がりました。
(講師まとめ)
まとめとして、DX推進によって保健師の活動は大きく変わりつつある。単なるデジタル化ではなく、行政保健師のパラダイムシフト。保健師の専門性をもっと発揮するために、デジタルの力をうまく活用していく発想をお願いしたいと思っています。具体的なビジョンを描いて、保健師活動DXに参画していってほしいです。
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